「想像を超える創造」de'plas

COLUMN − コラム −

− 店舗デザイン − 一つひとつのコトに独自性と変化を持たせながら、誰もがゆるやかなひとときを過ごせる空間

「博多水炊き 大和」は福岡県博多区中洲のゲイツビルという好立地にある水炊き屋である。日本三大繁華街の一つであるこの地域は、県内のお客様だけではなく、県外や海外からの観光客も多数訪れ、常ににぎわいにあふれる名スポットだ。

今回は既存店舗のリニューアル工事に携わらせて頂いた。オーナーからの要望は、現在26席あるテーブル席と8名個室のスペースを、より多くのお客様に利用していただけるように団体席としても活用できる空間にしたいということであった。また、可能であれば個室としての利用も出来るようにしたいとのことである。

担当デザイナーは、飲食店でのパーソナルスペースを意識しながら、最も席数を確保出来る掘りごたつ式でのレイアウトを行い、最大46席(テーブルを追加すれば50席)を取れる計画とした。

 

また、テーブル席の一部を一直線上に配置し、床も同様に掘り込んでおくことで、2名から22名(組数5組)を自由に組み替えられるように工夫した。個室としての利用に関しては、倹飩式ケンドン式)の間仕切りパネルを脱着することにより8名(最大10名)までの個室として利用できるようにした。

 

内装デザインのコンセプトは、落ち着いた雰囲気で高級感があり、老若男女問わず好まれるような空間づくり。床は木目調のフローリングタイルであるが、あえて木目が強調されている素材を選定し、メリハリのあるスタイリッシュなデザインを心掛けた。壁は落ち着いた黒の和柄クロスをベースとし、一面のみアクセントでベージュの和調クロスを使用した。また、間仕切りパネルの仕上げを和調の金色パターンのクロス貼りとすることで高級感を演出。

 

家具に関しては、テーブルを造作し、天板の小口とフレームを黒色とし、天板はダークな石目調のメラミン化粧板で仕上げることで、家具のデザインに独自性を持たせると共に、一番に料理が際立つようなデザインとした。

さらに、空間全体のアクセント要素として取り入れたのは、お客様が入店してカウンター席を通過し、今回リニューアルした空間へと入る際に通過するアプローチのデザインである。

 

アプローチの奥は個室へと入る扉があり、その面の壁面仕上げには古材を使用。扉はシンプルに黒とし、扉の中央に「大和」の家紋を白のカッティングシートで施し、天井からのダウンライトをあてることで際立たせるようにした。

 

この空間は少し異質な雰囲気を感じる方もいるかもしれないが、空間に変化をつけることで、家紋が必ず来訪客の目にとまり、お店の印象づけやブランディング向上の一助となることを目的としている。

さらに、アプローチから客席に入る際に、トンネル効果で明るく開放的な空間の印象づけも行うことが出来る。博多の食文化である水炊きを継承する「博多水炊き 大和」が、新たな空間でさらなる発展を遂げ、今後益々の繁栄をしていくことを心から祈念したいと思う。